刺激的炭酸デイズ

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購買のヤキソバパンは拳で奪い取れ!!



「さぁ、いい加減、諦めたらどうだい?」
「はんっ、生憎俺の中の辞書には『諦める』なんていう文字はないんだよ」
「・・・ということは、戦闘もやむをえないということだな・・・」
「勝負だ、和人!!」
「望むところだ、廉太!!」




 景気のよい拳の音。双方の右手が、左頬にヒットする。吹っ飛ばされ、二人は真逆の壁に打ち付けられる。殴られた頬を押さえつつ、立ち上がるとまた二人は飛び掛った。


「いい加減に諦めろよ!!あれは俺のヤキソバパンだ!!」
「なに言ってんだよ和人!!そんなのいつ決まった!?」
「昨日」
「なんで!?」
「なんとなく」
「おいぃ!!」


 先ほどとは打って変わって、子供のような喧嘩を繰り広げる和人と廉太。手を握り締めると、それをポカポカと相手に打ち付ける。
 周囲に居た人物たちはまた始まった・・・と呆れた瞳を二人に向けた。
 毎週火曜日と木曜日に起こるこの喧嘩は、購買部で行われている。一週間に二回しか売らない特製ヤキソバパンを巡っての喧嘩である。四時間目のチャイムが鳴るのと同時に走って購買部に向かう結城和人(ゆうきかずと)と三上廉太(みかみれんた)は、ヤキソバパンのために毎回競い合っているのだ。
 ヤキソバパンはいつも5個しか製造されていない。そしてそのほとんどが、購買部に近いクラスによって買い占められてしまう。なので二人は教室が遠いというハンデを負いながらも毎回ヤキソバパンゲットのために体を張っているというわけだ。


「・・・今日は体育の後で疲れたから、肉体を使わない勝負にしないか?」
「いやだねっ。俺は和人と違って体育じゃなかったもんな」
「だったらなにで勝負するんだよ!!」
「俺に譲れ、和人」
「誰がっ!!」


 購買部の列のど真ん中で口喧嘩をする二人。おばちゃんたちはもう馴れっこで、二人のやり取りを微笑ましそうに見ている。そんな時・・・


「すいません。ヤキソバパンください」
「150円だよ」
「はい、二百円で・・・おつり間違えないでくださいね?10円じゃありませんよ?100円に間違えてくれたら、こっちは嬉しいですけど」
「さすがに間違えないよ。はい、ヤキソバパン」


 目の前で繰り広げられる光景。それを見てしまった廉太と和人は唖然。なんたって、狙っていたヤキソバパンが易々と、見知らぬ少年に取られてしまったのだから。


「「どーいうこと?!おばちゃん!!」」
「だって二人とも遅いんだもの。とっとと売りたかったから、さっきの少年に売っちまったよ。これからは早めに勝負つけてくれないかねぇ」
「そんな・・・俺のヤキソバパン・・・」
「いつお前のに決まったんだよ!!はぁ・・・今日の昼飯はカロリーメイトだぜ・・・・」
「俺に一本頂戴」
「無理。お前にあげたらあと一本しか残んねーもん」
「おいおい。もしかしてハーフか?」
「悪いかよ。俺には金がねーんだ」
「しょうがない。今日ばかりは俺様が奢ってやろう」
「えっ?!マジ?!なにをなにを」
「飴玉」
「そんなの腹の足しになんねーよ!!」




 今日も購買部では喧嘩が起こる。


 ヤキソバパンは喧嘩で勝ち取れ!!





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